餅を買いに来た女狸オソメ
どんな伝承か
美馬郡脇町本町の字角ノ下に住んでいたという女狸で、オソメと呼ばれた。三十年ばかり前までは、よく女の姿に化けて近所の飲食店へ餅を買いに来たと伝わる。脇町には他にも、本町裏の畑中に祠を構える大木大明神、小麦谷に住み赤ん坊に化けて人に取り憑くオロクとその夫の八助、字高須で衝立に化けて通行を妨げる衝立狸など、名を持つ狸が数多く語り継がれている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
阿波の狸の話(笠井)
『阿波の狸の話』は、脇町の笠井という著者が、阿波国の各地に伝わる狸の話を集めて書いた本である。狸同士の化かし合い、狸使い、狸憑き、狸医者、狸を祀る祠などを題ごとに分け、郡村名や人名を挙げて、明治・大正の狸憑きの実話やお六つ大明神の信仰の様子も記す。後半に余材追録と、著者が萬福寺で狸に憑かれる人や住職と問答した記録を置き、巻末の「阿波名狸録」で名のある狸を徳島市と各郡の部に分けて並べる。