戦死した夫を弔う妻が墓地の堂で夜を明かすうち
どんな伝承か
≪假名草子≫の『二人比丘尼』は、下野の住人須田弥兵衛の妻の話である。須田弥兵衛は二十五才で討死し、その時その妻はまだ十七才であった。妻は夫の戦死した跡をたずねて菩提を弔おうとし、家を出てあちこちさまよっているうちに日が暮れてしまったので、戦場近くの小さなお堂で夜をすごすことにした。堂の周辺には苔むした石塔や新墓などおびただしい墓がひしめいていた。夜どおし回向し、その疲れであけがたうとうとしている中に、たくさんの骸骨たちがあらわれ、いっせいに手拍子をうって骨を鳴らしあいながら『そもそもわれらと申すは、地水火風のかりのもの』と歌い、踊ったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本の幽霊たち ― 怨念の系譜(阿部正路・幽霊・文学史・昭和)