島一透の家出人透視
どんな伝承か
金沢文学士の友人が突然家出をした。博士ら二、三人はその真相を知っていたが、驚いた両親には知っているとも言えず、愛宕下町の島に見てもらってはどうかと申し出た。一番目の男が訪ねると、島はただちに「ああ、お前の尋ねる人は今大阪にいる。大阪へ行くなら道筋からいえば東海道を行くべきだが、親類へ立寄る必要があって中仙道を行ったな。心配することはない、そのうち帰って来る」と言った。二番目の金沢も同じことを言われ、三番目の者は「その事ならもう二人来ているから訊かずともよかろう」と先を越されて驚き、引き下がった。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
心霊哲学の現状(高橋五郎・1919年(大正8年))
『心霊哲学の現状』は、高橋五郎が大正八年に著した心霊研究の概説書である。英国のロッジが戦死した子レイモンドの霊と交わした冥界通信をはじめ、欧米の交霊術と霊媒の実例を訳して紹介し、日本の催眠術と千里眼の流行、御船千鶴子・長尾郁子の事件、霊光や念写までを論じる。篇と章に分け、心霊哲学とキリスト教、クリスチャン・サイエンス、淘宮術との関係や、太霊道など国内の霊術諸派も取り上げ、ところどころに評註を添える。