七月九日に飛ぶ梵珠山の御灯明
どんな伝承か
岩手の早池峰山に伝わる天灯籠という怪火の話に触れて、著者は以前に青森の梵珠山という山でも似たような話を聞いたと記す。七月九日の夜になると、海の方角から御灯明と呼ばれる無数の火の玉が梵珠山を目指して飛んで来るという。蛍のように小さな光から野球のボールくらいの大きさまであるが点滅はせず、間近を飛んでいても決して捕らえることができない。生物であるなら限られた日にたった一日だけ現れるわけがないと著者は言う。嘘ではないかと疑っていたが、観光パンフレットにもその怪異現象が掲載され、物理学者も目撃して首を捻ったと書かれていた。地元の人々は毎年この出現を楽しみに待ち侘びているという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
黄昏綺譚(高橋克彦・幽霊・怪異体験・1996年(平成8年))
『黄昏綺譚』は、高橋克彦が連載をまとめ、一九九六年七月付のあとがきを付したエッセイ集で、吉田光彦の挿絵と組んだ画文集である。著者が体験し見聞きした分身や生霊、寺での怪異、前世、UFOなどの不思議と、史料や神話に残る怪異、宮澤賢治をゴッホの生まれ変わりとみる考えを語る。「この世に幽霊はいる」「不思議な話が史料や神話に」「宮澤賢治はゴッホの生まれ変わり!!!」の三部に分かれ、巻末にあとがきと丸尾末広の解説「黄昏るペン」を収める。