巣鴨病院で数えられた百十三の狐憑き
どんな伝承か
狐憑きを一つの精神病として体系的に扱ったのが門脇真枝である。憑きもの信仰の濃い山陰の生まれで、私立医学校に学んだのち、一八九六年に東京府立巣鴨病院の医局へ入った。ここで狐憑きに関心を寄せていた東京帝国大学教授の榊俶に師事し、呉秀三の指導も受けている。巣鴨病院時代の仕事が『狐憑病新論』で、男六十名・女五十三名、計百十三名の症例表と、病症・年齢・結婚・宗教・遺伝・職業などの統計表を並べた点に特徴がある。数量によって精神を解剖しようとする、新しい知の形だった。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
幻視する近代空間 ―迷信・病気・座敷牢、あるいは歴史の記憶(川村邦光・現代(近代史研究))
民俗学者・川村邦光が、近代日本が在来の習俗や憑きもの信仰をいかに〈迷信〉として再編し、狐憑きを脳病・神経病・憑依妄想へ病理化したかを、具体的事件・事例に即して論じた近代史。