松公の再生と内股の文字
どんな伝承か
昭和の初め頃、東京杉並区堀の内の火葬場の構内に、松太郎(通称松公)という名物乞食が掘っ立て小屋を建ててもらって住んでいた。昭和十年に松公が死んだとき、懇意だった山崎平三郎は屍体の内股に題目と自分の住所を書き、一心に再生を念じてやった。昭和十三年十月十五日の真夜中、大阪から訪ねてきた者があり、一昨年生まれた男の子の右の内股にその文字が現れ、高僧や祈禱師に頼んでも消えないと語った。山崎は墓の土で洗えばよいと持たせて帰したが、消えぬと電報が来たので大阪へ行った。子の内股には入れ墨のような青紫の文字がありありと読めた。諸仏を念じ、水を含ませた脱脂綿で題目を唱えて拭うと、文字は跡形もなく消えた。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
録音された前世 ―驚異の催眠術(モーレー・バーンスタイン(著)/仁宮武夫(訳))
『録音された前世 ―驚異の催眠術』は、モーレー・バーンスタインの『The Search For Bridey Murphy』を仁宮武夫が訳した催眠実験の記録である。コロラドの実業家の著者が、ルス・シモンズを年齢退行の催眠にかけ、アイルランドのコークに生きた女ブライデー・マーフィーとしての前世を語らせたやりとりを、録音をもとにたどる。五部十九章で、第四部に新聞記者の現地調査を収め、訳者が日本の再生談などの訳註と「催眠術のかけ方」を補う。