念写をめぐる福来友吉の休職
どんな伝承か
長尾邸事件以後沈黙していた福来友吉が突如『事実宣言』を行い、貞子を被験者とする新たな念写実験を計画して有力学者に立会いを求めたが、提案は水泡に帰した。理学者側は匿名の新聞談話で『あれは詐術だ』などと感情的に攻撃し、長尾邸事件の当事者山川健次郎も福来を過信の人と評した。やがて福来博士馘首の噂が広まり、大正二年十月二十八日、各紙はいっせいに福来の休職を報じた。井上哲次郎博士は気の毒なことだとの談話を寄せている。念写をめぐって福来は学界を追われていった。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
霊術家の饗宴(井村宏次・井村宏次・霊術研究・現代(著述))
井村宏次『霊術家の饗宴』。明治末から昭和初期にかけて隆盛し、抹消された〈霊術家運動〉の歴史を発掘・復元する。プロローグで霊術家の運命を予告し、第一章では気合術師・浜口熊嶽が帝都に乗り込み九字と気合の嵐で名を上げ、明治の心霊手術を行い、実川上人のもと那智滝で仙人修行・三密の極意を得て、大阪の『真言秘密』裁判で判官臨席の気合術実験により勝利するまでを描く。