金木の神の森に集うイタコ
どんな伝承か
日本におけるあの世とこの世の交通路は常に坦々と大きく開かれており、その交通量も相当頻繁なものだと著者は説く。たとえば青森県北津軽の金木町在には、一年に一度、土地でイタコと呼ばれる巫女たちが寄って口寄せをする神の森がある。その日、親しい死者を持つ肉親たちが集まり、イタコの口を通してあの世の消息を問う。近郷の人びとが一年中心にかけていた父や母やわが子の消息を聞き、あの世に住む肉親のこの世への意志を問えるこの日をどれほど待ちこがれているかは、その光景に接したことのない者の想像もできないという。生口・死口を寄せる徒は津軽の金木の森に限らず数多いとも記す。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本人の生活と迷信(今野圓輔・森秀男・今野圓輔・民俗学)
『日本人の生活と迷信』は、今野圓輔と森秀男による、現代の日本人の暮らしに残る迷信と俗信を論じた本である。文部省迷信調査協議会が昭和二十四年から翌年にかけて行った全国調査の数字を引き、十二支や丙午、日の吉凶、家相、厄年、まじない療法、食い合わせ、農作業の禁忌、幽霊・妖怪・河童・憑きもの、便所神や道祖神などを取り上げる。迷信の種類と分布に始まり、医薬、暦と方角、農村、前兆・予知、神々と信仰の部に分けて説く。