杉の祟りとされた火あぶり
どんな伝承か
三本木市で、キツネ落としと称する凄惨な事件が起きた。心を病んだ三十五歳の女に対し、巫女の口を借りて託宣が下る。田の中の杉を伐った祟りでキツネが憑いた、というのである。憑いたものを追い出すという名目で、女は泣き叫ぶのもかまわず裸にされ、裏山へ連れ出されて火にあぶられ、そのまま悶死した。昔語りに聞く松葉いぶしさながらの惨さで、この種の事件は加害者が呪術者を囲む家族や近親、被害者が決まって心を病んだ者だったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代の迷信(今野圓輔・現代教養文庫・1961年(昭和36年))
『現代の迷信』は、今野圓輔が昭和三十六年に著した、現代の俗信を一般の読者に向けて説いた読み物である。昭和三十年代の新聞・雑誌の報道や聞き書きを主な材料に、縁起かつぎ、前兆・占い・禁忌・まじない・願掛け、憑きもの落としの殺人や新興宗教の騒ぎまでを全国から拾い集めている。「現状」「過誤と真実」「その背景」「迷信論」の四部から成り、巻末に読者の問いに答える迷信身の上相談を付ける。