住吉の社前で拾う安産の誕生石
どんな伝承か
大阪府下に生まれた人の母親は、住吉神社の社前から「誕生石」と呼ばれる小石を拾って持ち帰り、子が無事に生まれたあとで、感謝の祈りとともにその石を返しに行ったかもしれない、と著者は読者に語りかける。安産を願う呪術の一つとして挙げられたもので、同じ段落には、安産のために水天宮の岩田帯を締めること、近所七軒から持ち寄った名前の中から子の名を選ぶこと、もう後が生まれないようにと願ってトメ子や末吉と名づけることなど、胎内にいるうちから始まる日本人の俗信的な一生の例が並んでいる。
原典より
大阪府下で生まれた人のおかあさんは、住吉神社の社前から『誕生石”とよばれる小石を拾って来て、あなたが無事に生まれたあとで、その小石を感謝の祈りとともに、お返ししたかもしれない。—— 現代の迷信(今野圓輔・現代教養文庫・1961年(昭和36年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代の迷信(今野圓輔・現代教養文庫・1961年(昭和36年))
『現代の迷信』は、今野圓輔が昭和三十六年に著した、現代の俗信を一般の読者に向けて説いた読み物である。昭和三十年代の新聞・雑誌の報道や聞き書きを主な材料に、縁起かつぎ、前兆・占い・禁忌・まじない・願掛け、憑きもの落としの殺人や新興宗教の騒ぎまでを全国から拾い集めている。「現状」「過誤と真実」「その背景」「迷信論」の四部から成り、巻末に読者の問いに答える迷信身の上相談を付ける。