青ヶ島のタヤ隔離習俗
どんな伝承か
都心から三六〇キロも離れた青ヶ島には、血を忌む古い習俗が残っていた。学術調査団の報告によれば、生理中の女性や産婦を別の小屋に隔て、家族と炊事も食事も別にするタビ(他火)の慣行が、伊豆七島の他の島ですたれたあとも根強く続いていた。大正末期までは二つの部落にそれぞれ共有のタヒヤがあり、産婦と生理中の者が共に入った。その後はタヤと呼ぶ板囲いの一室を産婦が使い、生理中の者には母屋から離れた一戸建てのタビヤがあてがわれた。若い人はほとんど使わず、三十歳以上の者が使うという。母親がタビに入ると炊事は子供の役になり、遅刻する生徒が多いと中学の教師がこぼしていた。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代の迷信(今野圓輔・今野圓輔・民俗学・昭和(高度成長期))
民俗学者・今野圓輔が高度成長期の日本に残る迷信を社会派ルポとして告発・分析した一冊。序章では、静岡県掛川市で異性双生児を畜生腹と恥じた母親の母子心中事件、青森県三本木市でキツネ落としと称して女を火あぶりにした殺人事件など、迷信が現代も殺人・心中を生む『黒い習俗』を突きつける。