セノ木の精が教えた折合滝の巨木伐り
どんな伝承か
金沢村の折合滝の滝壺のそばに五葉の松と栗とセノ木の大木が茂り、滝見の妨げになっていたので、セノ木だけ残して二本を伐ることになった。請け負った樵夫の親分が毎日数十人で斧を入れても、翌朝には切屑が元の木に付いて元どおりになる。困り果てた親分の前に老翁が現れ、自分は滝の下のセノ木の精だと名乗り、切屑を日ごとに焼けば伐れると教えて消えた。そのとおりにして二本は倒れたが、大栗は倒れざまに下の村を泥の海にすると叫び、たちまち大水が出た。流れた栗は角端で川をせき止めたものの、川上から転がる大石に打たれて折れ、大事には至らなかったという。
原典より
すると其の老翁は親分に云ふには俺は滝の下のセノ木の精だが、今度俺が助けられると言ふことを聞いて嬉しい。—— 佐々木喜善全集 1(佐々木喜善・佐々木喜善全集・1986年(昭和61年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
佐々木喜善全集 1(佐々木喜善・佐々木喜善全集・1986年(昭和61年))
『佐々木喜善全集 1』は、佐々木喜善の著作を遠野市立博物館が編集・発行し、昭和六十一年に刊行した全集の第一巻である。岩手県の遠野・江刺・紫波・岩手などで聞き集めたザシキワラシの話、昔話、伝説を、村の古老や知友からの聞き書きと手紙による報告をもとに収める。「奥州のザシキワラシの話」「江刺郡昔話」「紫波郡昔話」「東奥異聞」「老媼夜譚」「聴耳草紙」に小篇を加えて並べ、巻末に遠野市教育長の跋と奥付を置く。