水口家に来たクラワラシ
どんな伝承か
綾織村字大久保に水口という農家がある。今から七十年ばかり前の正月十四日の晩、非常な吹雪であった。その夜、宮守村の日向という家から、笛太鼓で囃しながら賑やかに出て来たものがあり、それが水口の家の前まで来ると、物音がぴたりと止んでしまった。世間ではそれが福神で、この家に入ったのだと言ったという。それから水口の家の土蔵にはクラワラシが居るようになり、家計は非常に豊かになったと伝える。遠野町の佐々木媛子が母から聞いた話として、大正八年七月に本人の宅で聴き取られた。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
佐々木喜善全集 1(佐々木喜善・佐々木喜善全集・1986年(昭和61年))
『佐々木喜善全集 1』は、佐々木喜善の著作を遠野市立博物館が編集・発行し、昭和六十一年に刊行した全集の第一巻である。岩手県の遠野・江刺・紫波・岩手などで聞き集めたザシキワラシの話、昔話、伝説を、村の古老や知友からの聞き書きと手紙による報告をもとに収める。「奥州のザシキワラシの話」「江刺郡昔話」「紫波郡昔話」「東奥異聞」「老媼夜譚」「聴耳草紙」に小篇を加えて並べ、巻末に遠野市教育長の跋と奥付を置く。