太久保宿の友禅の娘
どんな伝承か
遠野の新町に太久保という宿屋があった。この家のおばあさんがある日二階に行くと、そんな客もなかったのに、赤い友禅の衣物を着た十七、八の娘が座敷の中をあちらこちらと歩き廻っているのを見た。これがこの家のザシキワラシだったという。その後も折々家の人に見えたそうである。今から五十年ばかりも前のことらしい。この家は今は跡形もなくなったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
佐々木喜善全集 1(佐々木喜善・佐々木喜善全集・1986年(昭和61年))
『佐々木喜善全集 1』は、佐々木喜善の著作を遠野市立博物館が編集・発行し、昭和六十一年に刊行した全集の第一巻である。岩手県の遠野・江刺・紫波・岩手などで聞き集めたザシキワラシの話、昔話、伝説を、村の古老や知友からの聞き書きと手紙による報告をもとに収める。「奥州のザシキワラシの話」「江刺郡昔話」「紫波郡昔話」「東奥異聞」「老媼夜譚」「聴耳草紙」に小篇を加えて並べ、巻末に遠野市教育長の跋と奥付を置く。