孫左衛門家を去る二人娘
どんな伝承か
きたがめの山口の旧家、孫左衛門という家には、若い女のザシキワラシが二人いると久しく言い伝えられていた。ある年、同所の某という男が横田の町から夕方帰って来ると、留場の橋というあたりで見慣れぬ美しい娘二人に行き逢った。何か物思わしげな様子で歩いて来るので、どこから来てどこへ行くのかと問うと、今まで山口の孫左衛門殿の家にいたが、これから気仙の稲子沢へ行きますと言って行き過ぎた。その後、山口の家では主従三十人ばかりが茸の毒にあたって、一夜のうちに皆死に絶えたという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
佐々木喜善全集 1(佐々木喜善・佐々木喜善全集・1986年(昭和61年))
『佐々木喜善全集 1』は、佐々木喜善の著作を遠野市立博物館が編集・発行し、昭和六十一年に刊行した全集の第一巻である。岩手県の遠野・江刺・紫波・岩手などで聞き集めたザシキワラシの話、昔話、伝説を、村の古老や知友からの聞き書きと手紙による報告をもとに収める。「奥州のザシキワラシの話」「江刺郡昔話」「紫波郡昔話」「東奥異聞」「老媼夜譚」「聴耳草紙」に小篇を加えて並べ、巻末に遠野市教育長の跋と奥付を置く。