早池峯山の山の神と磐司
どんな伝承か
陸中国閉伊郡附馬牛村字生出という山里に、万治と磐司という二人の狩人があった。万治は名人で獲物も多かったが、磐司は下手で終日山を歩いても一足の鹿さえ捕らぬことがあった。或る日、万治が狩山へ行く途中、産をして血だらけで苦しむ美しい女がいて助けを乞うたが、狩猟は産の穢れを忌むとして断り、そのまま山へ行った。後から通りかかった磐司は嫌な顔もせず介抱して十二人の子を産ませた。女は喜んで山幸を授けると言い、磐司の名を唱えれば山幸の手形になると告げた。その女は山の神であり、以後、磐司には日々大きな山幸があった。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
佐々木喜善全集 1(佐々木喜善・佐々木喜善全集・1986年(昭和61年))
『佐々木喜善全集 1』は、佐々木喜善の著作を遠野市立博物館が編集・発行し、昭和六十一年に刊行した全集の第一巻である。岩手県の遠野・江刺・紫波・岩手などで聞き集めたザシキワラシの話、昔話、伝説を、村の古老や知友からの聞き書きと手紙による報告をもとに収める。「奥州のザシキワラシの話」「江刺郡昔話」「紫波郡昔話」「東奥異聞」「老媼夜譚」「聴耳草紙」に小篇を加えて並べ、巻末に遠野市教育長の跋と奥付を置く。