雀の子と仲間たちの山母退治
どんな伝承か
竹藪の巣で卵を抱いていた雀のもとへ奥山の山母が来て卵をねだり、次々に奪ったうえ親雀まで食ってしまった。藪に落ちて助かった一つの卵から生まれた子雀は、大きくなると親の仇を討とうと、あちこちの稲架から稲穂を拾って団子を作り、それを背負って加勢を頼んで回った。仲間になったのは栃の実、針、牛の糞、蟹、土摺臼で、一同は山母の家に忍び込んでそれぞれ炉や横座、水甕、戸口の上、踏み台に隠れた。日暮れに帰った山母が炉にまたがると栃の実が弾けて尻を打ち、尻餅をつくと針が刺し、水桶へ飛び込むと蟹が臍を掻き切り、飛び出して牛の糞に滑って転んだところへ土摺臼が落ちてきて押し潰し、子雀はめでたく仇を討ったという。
原典より
雀の子に加勢したのは、栃の実と、針と、牛の糞と、蟹と、土摺臼とであつた。—— 佐々木喜善全集 1(佐々木喜善・佐々木喜善全集・1986年(昭和61年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
佐々木喜善全集 1(佐々木喜善・佐々木喜善全集・1986年(昭和61年))
『佐々木喜善全集 1』は、佐々木喜善の著作を遠野市立博物館が編集・発行し、昭和六十一年に刊行した全集の第一巻である。岩手県の遠野・江刺・紫波・岩手などで聞き集めたザシキワラシの話、昔話、伝説を、村の古老や知友からの聞き書きと手紙による報告をもとに収める。「奥州のザシキワラシの話」「江刺郡昔話」「紫波郡昔話」「東奥異聞」「老媼夜譚」「聴耳草紙」に小篇を加えて並べ、巻末に遠野市教育長の跋と奥付を置く。