願掛けの道で林檎をくれた赤い着物の娘
どんな伝承か
ある所に父と母と三人の息子があり、上から六平、権平、善平といった。父が病気になったので、長男の六平が神様へ願掛けに出かけると、鳥居の方から赤い着物の小さな娘が踊りながらやって来て、どこへ行くのかと尋ねた。六平が子供の知ったことではないと内心腹を立てて答えると、娘は袂から赤い林檎と青い林檎を出してくれた。妙な娘だと思いつつ青い方を食べると、鼻の先が痒くなり、棒切れのように伸びて大きくなった。気づけば娘の姿はなく、六平は呆れてその場に寝込んでいた。兄の帰りが遅いので次男の権平が迎えに出ると、宮のそばで同じ赤い着物の娘が踊ってきて、権平さんどこへ行くと声をかけた。
原典より
六平は可笑しな娘だと思つて其林檎を貰つて、先づ青い方を食べると、食べて居るうちに鼻の先きが痒くなつてだんだん棒切木のやうに伸びて大きくなつた。—— 佐々木喜善全集 1(佐々木喜善・佐々木喜善全集・1986年(昭和61年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
佐々木喜善全集 1(佐々木喜善・佐々木喜善全集・1986年(昭和61年))
『佐々木喜善全集 1』は、佐々木喜善の著作を遠野市立博物館が編集・発行し、昭和六十一年に刊行した全集の第一巻である。岩手県の遠野・江刺・紫波・岩手などで聞き集めたザシキワラシの話、昔話、伝説を、村の古老や知友からの聞き書きと手紙による報告をもとに収める。「奥州のザシキワラシの話」「江刺郡昔話」「紫波郡昔話」「東奥異聞」「老媼夜譚」「聴耳草紙」に小篇を加えて並べ、巻末に遠野市教育長の跋と奥付を置く。