金毘羅の夢告げと前世の大工
どんな伝承か
昔、金毘羅を信心する男が二人いた。一人は毎月欠かさず参詣したが、もう一人は仕事が忙しくてなかなか参れなかった。ある時、毎月参る男が誘って二人そろって詣でたところ、月参りの男には何事もなく、たまに来た男の方に金の緒が引っかかった。その夜、二人に夢のお告げがあった。毎月参る男は前世が鳥で、社の米を食べた心が忘れられずに通ってくるだけであり、もう一人は前世が大工で、御堂の建立にかかりながら出来上がる前に急死し、賃金も受け取らずに終わったので、その代わりに金の緒を与えたのだと告げられたという。
原典より
ところが月参の者には何事も無かったが遇に行った男の方に金の緒が引掛かった。—— 佐々木喜善全集 1(佐々木喜善・佐々木喜善全集・1986年(昭和61年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
佐々木喜善全集 1(佐々木喜善・佐々木喜善全集・1986年(昭和61年))
『佐々木喜善全集 1』は、佐々木喜善の著作を遠野市立博物館が編集・発行し、昭和六十一年に刊行した全集の第一巻である。岩手県の遠野・江刺・紫波・岩手などで聞き集めたザシキワラシの話、昔話、伝説を、村の古老や知友からの聞き書きと手紙による報告をもとに収める。「奥州のザシキワラシの話」「江刺郡昔話」「紫波郡昔話」「東奥異聞」「老媼夜譚」「聴耳草紙」に小篇を加えて並べ、巻末に遠野市教育長の跋と奥付を置く。