狐の恩返しに嫁いだ花咲と稲荷
どんな伝承か
貧乏な家に足りない子が生まれ、コン吉と呼ばれた。奉公も続かず、都会で修業したいと父から五両を貰って家を出た。途中、子供らが痩狐を折檻するのを見て三両で買い取り、野原で放してやった。その足で江戸の小間物店に奉公し、手習も算盤も覚えて別人のように立派になり、土産を馬三駄につけて帰った。岩谷堂まで一日という所で、あの狐が美しい娘となって現れ、親の礼には金でなく自分を貰えと教えた。その通りにして娘を連れ帰り、花咲と名づけ、尽きぬ酒の出る瓢箪で酒屋を開いて繁盛した。やがて花咲は自ら言い含めた通り吉原へ売られ、大病を得て息を引き取る。国へ運ぶと生き返り、自分を稲荷として氏神に祀ってくれと言い残した。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
佐々木喜善全集 1(佐々木喜善・佐々木喜善全集・1986年(昭和61年))
『佐々木喜善全集 1』は、佐々木喜善の著作を遠野市立博物館が編集・発行し、昭和六十一年に刊行した全集の第一巻である。岩手県の遠野・江刺・紫波・岩手などで聞き集めたザシキワラシの話、昔話、伝説を、村の古老や知友からの聞き書きと手紙による報告をもとに収める。「奥州のザシキワラシの話」「江刺郡昔話」「紫波郡昔話」「東奥異聞」「老媼夜譚」「聴耳草紙」に小篇を加えて並べ、巻末に遠野市教育長の跋と奥付を置く。