炭焼長者の娘が救った婿の命
どんな伝承か
町へ炭を売りに出ていた貧しい炭焼の爺は、子どもが遊ぶ光る物が黄金だと聞き、それなら炭竈の周りは一面それだと漏らした。話を聞いた女が山まで付いて行くと、竈の辺りは金の塊で光っており、女は爺の小屋に住み込んで、その知恵で爺は炭ノ倉長者となった。山の神に願って授かった美しい娘には、通りがかった旅の若侍を追わせて婿に迎えた。婿は都の遊女屋で、妻は廓一の紫繁より美しいと言い張って番頭と命を賭けた。番頭がのぞいて写した絵姿は姑のもので、婿は討たれることになった。娘は都へ駆けつけ、はたし場に草履を投げ込んで自分こそ妻だと名乗り、その美しさで勝負は逆転して婿は命拾いしたという。
原典より
見ると如何にも炭竃のあたりが一面に金の塊でぴかぴか光つてゐた。—— 佐々木喜善全集 1(佐々木喜善・佐々木喜善全集・1986年(昭和61年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
佐々木喜善全集 1(佐々木喜善・佐々木喜善全集・1986年(昭和61年))
『佐々木喜善全集 1』は、佐々木喜善の著作を遠野市立博物館が編集・発行し、昭和六十一年に刊行した全集の第一巻である。岩手県の遠野・江刺・紫波・岩手などで聞き集めたザシキワラシの話、昔話、伝説を、村の古老や知友からの聞き書きと手紙による報告をもとに収める。「奥州のザシキワラシの話」「江刺郡昔話」「紫波郡昔話」「東奥異聞」「老媼夜譚」「聴耳草紙」に小篇を加えて並べ、巻末に遠野市教育長の跋と奥付を置く。