本なり瓢箪で決まった家督の裁き
どんな伝承か
或る所に三人の兄弟があった。父親が死ぬとき、兄弟を一人ずつ枕許に呼び、瓢箪を一個ずつ与えて、これを大事にして俺の後を継いでくれと遺言し、まもなく命を落した。ところが三人とも同じような瓢箪を貰い、同じような遺言をされたので、めいめいに父親の後を継ぐのは自分だと言い張った。そこで村の檀那寺の和尚のところへ行き、裁判をつけてもらうことになった。和尚は兄弟の言い分をとっくりと聴き、一番本なりの瓢箪を貰った者が家督を継ぐのが当然だと言った。本なりの瓢箪はどうすれば分かるかと問うと、目方に掛ければすぐ分かると答えた。三つを量ると総領のものが一番重く、やはり総領が家督を継ぐことになった。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
佐々木喜善全集 1(佐々木喜善・佐々木喜善全集・1986年(昭和61年))
『佐々木喜善全集 1』は、佐々木喜善の著作を遠野市立博物館が編集・発行し、昭和六十一年に刊行した全集の第一巻である。岩手県の遠野・江刺・紫波・岩手などで聞き集めたザシキワラシの話、昔話、伝説を、村の古老や知友からの聞き書きと手紙による報告をもとに収める。「奥州のザシキワラシの話」「江刺郡昔話」「紫波郡昔話」「東奥異聞」「老媼夜譚」「聴耳草紙」に小篇を加えて並べ、巻末に遠野市教育長の跋と奥付を置く。