瓢箪の草鞋で熊野詣
どんな伝承か
唐辛子(粉南蕃)を売り歩いて暮らしを立てる男がいた。男は、一生のうち一度でいいから紀伊の熊野様へお参りしたいと願っていた。そこで瓢箪で薬を打ちこんだ草鞋をこしらえ、それを履いて商いの唐辛子を売りながら旅に出た。三年三月のあいだ歩き続けて熊野詣を無事に果たし、国へ帰ってきたが、その草鞋はとうとう最後まですり切れなかったという。
原典より
それから三年三月と云ふもの、瓢箪で薬を打つて草鞋をつくり、それを履いて商売のコナンバンを売りながら旅へ出た。—— 佐々木喜善全集 1(佐々木喜善・佐々木喜善全集・1986年(昭和61年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
佐々木喜善全集 1(佐々木喜善・佐々木喜善全集・1986年(昭和61年))
『佐々木喜善全集 1』は、佐々木喜善の著作を遠野市立博物館が編集・発行し、昭和六十一年に刊行した全集の第一巻である。岩手県の遠野・江刺・紫波・岩手などで聞き集めたザシキワラシの話、昔話、伝説を、村の古老や知友からの聞き書きと手紙による報告をもとに収める。「奥州のザシキワラシの話」「江刺郡昔話」「紫波郡昔話」「東奥異聞」「老媼夜譚」「聴耳草紙」に小篇を加えて並べ、巻末に遠野市教育長の跋と奥付を置く。