父を呼んで鳴く飢饉の鳩
どんな伝承か
飢饉の年、父が根餅の材料を掘りに山へ入った。昼どきになり、母は子に粉煎を持たせて父のもとへ届けにやった。ところが子は道中で遊びに夢中になり、たどり着いたときには父はもう飢えて息絶えていた。それを見た子は鳩に姿を変え、いまも「父粉食え」と父を呼ぶように鳴いているという。鳩は一日に四万八千八声鳴かねばならず、子どもがその声をまねると数え直しになるので、まねてはならないと言い伝えられている。
原典より
子供は途中で遊びほれて、父の所へ行った時には、父は飢死して居た。—— 佐々木喜善全集 1(佐々木喜善・佐々木喜善全集・1986年(昭和61年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
佐々木喜善全集 1(佐々木喜善・佐々木喜善全集・1986年(昭和61年))
『佐々木喜善全集 1』は、佐々木喜善の著作を遠野市立博物館が編集・発行し、昭和六十一年に刊行した全集の第一巻である。岩手県の遠野・江刺・紫波・岩手などで聞き集めたザシキワラシの話、昔話、伝説を、村の古老や知友からの聞き書きと手紙による報告をもとに収める。「奥州のザシキワラシの話」「江刺郡昔話」「紫波郡昔話」「東奥異聞」「老媼夜譚」「聴耳草紙」に小篇を加えて並べ、巻末に遠野市教育長の跋と奥付を置く。