姉の腹を割いた妹と時鳥
どんな伝承か
姉妹が山で土芋を掘って焼いて食べた。妹思いの姉は、自分は焦げて固くなった皮ばかりを食べ、柔らかく甘いところを妹に回した。ところが妹は、これほど甘いなら姉はもっとよいところを食べているに違いないと疑い、そばの包丁で姉の腹を割いてみた。姉の腹には固い皮しか入っておらず、姉は嘆きながら息絶えて郭公になって飛び去った。妹はようやく姉の情けを知って悔やみ、泣きながら自分も鳥となって後を追った。それが時鳥で、包丁で割いたかと自分を責めて昼も夜も鳴くのだという。
原典より
妹はそれを見て、はじめて姉の慈悲が分り、後悔して泣いて、後悔して泣いて、これもやつぱり鳥となつて、姉のあとを慕って飛んで行った。—— 佐々木喜善全集 1(佐々木喜善・佐々木喜善全集・1986年(昭和61年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
佐々木喜善全集 1(佐々木喜善・佐々木喜善全集・1986年(昭和61年))
『佐々木喜善全集 1』は、佐々木喜善の著作を遠野市立博物館が編集・発行し、昭和六十一年に刊行した全集の第一巻である。岩手県の遠野・江刺・紫波・岩手などで聞き集めたザシキワラシの話、昔話、伝説を、村の古老や知友からの聞き書きと手紙による報告をもとに収める。「奥州のザシキワラシの話」「江刺郡昔話」「紫波郡昔話」「東奥異聞」「老媼夜譚」「聴耳草紙」に小篇を加えて並べ、巻末に遠野市教育長の跋と奥付を置く。