和尚に返歌を教わった婿
どんな伝承か
ある妻が、毎晩のように夫へ歌を投げかけていた。磯ぎわにつないだ船に、なぜ乗らぬ、という歌である。婿は少し頭が足りず、その意味が解けなかったので、寺の和尚のもとへ尋ねに行き、返しの歌を教わった。荒波ゆえに乗るに乗られず、というものである。これを詠み返すと、妻は夫の偉さを初めて知り、それからは夫婦の仲がよくなったという。
原典より
智殿は薄馬鹿であつたので、その歌を解きかねて、お寺の和尚のところへ行 つて訊くと、返歌を教はつた。—— 佐々木喜善全集 1(佐々木喜善・佐々木喜善全集・1986年(昭和61年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
佐々木喜善全集 1(佐々木喜善・佐々木喜善全集・1986年(昭和61年))
『佐々木喜善全集 1』は、佐々木喜善の著作を遠野市立博物館が編集・発行し、昭和六十一年に刊行した全集の第一巻である。岩手県の遠野・江刺・紫波・岩手などで聞き集めたザシキワラシの話、昔話、伝説を、村の古老や知友からの聞き書きと手紙による報告をもとに収める。「奥州のザシキワラシの話」「江刺郡昔話」「紫波郡昔話」「東奥異聞」「老媼夜譚」「聴耳草紙」に小篇を加えて並べ、巻末に遠野市教育長の跋と奥付を置く。