汗にまみれたオシラ像
どんな伝承か
上閉伊郡上郷村字越田の菊池嘉右衛門の家に、木像で二尺ばかりのオシラ像がある。ある時、家の人が野良に出ていると、にわかに雨が降り雷が鳴った。家の庭一面に干し物をしてあるのに気づいて狼狽し、走り帰って見ると、筵は一枚残らず畳まれて縁側に積んであった。不審に思って座敷に上がって見ると、木像は頭も顔も言わず、びっしょりと汗みどろになっていたという。これは地蔵とは言わないが、気仙の立根の地蔵の話と同じ系統のものとして書き添えられている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
佐々木喜善全集 1(佐々木喜善・佐々木喜善全集・1986年(昭和61年))
『佐々木喜善全集 1』は、佐々木喜善の著作を遠野市立博物館が編集・発行し、昭和六十一年に刊行した全集の第一巻である。岩手県の遠野・江刺・紫波・岩手などで聞き集めたザシキワラシの話、昔話、伝説を、村の古老や知友からの聞き書きと手紙による報告をもとに収める。「奥州のザシキワラシの話」「江刺郡昔話」「紫波郡昔話」「東奥異聞」「老媼夜譚」「聴耳草紙」に小篇を加えて並べ、巻末に遠野市教育長の跋と奥付を置く。