草鞋についてきて育った熊野の石
どんな伝承か
太田の権現さまの御神体は熊野石だと伝えられる。昔、この村の百姓宮間某が紀州熊野へ参詣した帰り道、桃の種に似た青い小石が草鞋の間に挟まり、取っても取ってもついてくる。面倒に思って袋に入れ腰に下げていたところ、道中で日に日に大きくなり、形も奇抜になったので持ち帰って庭に祀ると、石はさらに育って長さ三尺、周囲一尺四寸ほどになったという。子のない者が参れば子を授かると信じられてきた。米戸にも、他所への参詣の帰りに草鞋についてきた石を祀った道陸神がある。太田の御神体は陰茎の形をしていたため、後年、風紀を理由に打ち砕かれたが、手伝った名主の家がその日のうちに全焼するなど、関わった者が次々に不慮の死を遂げたと伝えられる。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
佐倉市史 民俗編――伝説・怪異(佐倉市(編)・佐倉市史)
『佐倉市史 民俗編――伝説・怪異』は、千葉県佐倉市の市史の民俗編のうち、第七章「民俗知識」と第八章「口承文芸」の伝説の節である。市内で採録した吉凶の予兆やまじない、民間薬、天気の言い伝えと、狐や狸の化かし、デーダラボーの足跡、岩富の首なし塚、天狗、狐火、印旛沼のカワボタルなどの伝説を収める。伝説は文化財保護委員会の分類に倣って自然伝説・歴史的伝説・信仰伝説に分け、終わりに村々の禁忌を置く。