山中野で育ちつづけた出雲石
どんな伝承か
三原市幸崎町能地に住む権松と母のイシは、嫁の縁を願って出雲大社に参った。よい神告を得たが母は足を痛めて歩けず、権松は天秤棒の片荷に母を、もう一方に石をのせてかついで帰った。久井の稲荷に参り、下津・黒郷を経て山中野まで来ると母の足は治り、母子は片荷の石に礼を言って別れた。能地へ帰った権松には嫁が来て商売も栄えた。翌年、久井へ参る途中の中野で再会した石は、姿は同じでもおそろしく大きくなっており、以後、権松の身代が大きくなるにつれて石も年ごとに大きくなったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第10巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第10巻』は、全国の伝説を型ごとに分けて集めた叢書の一巻である。岡山・広島・山口の三県を伝承地とし、蘇民将来、吉備津彦と温羅、厚狭の寝太郎、化け猫、河童駒引き、夜泣き石、姥棄て山などの伝説を、聞き書きや市町村誌、民話集から採って収める。「文化叙事伝説」と「自然説明伝説」の部に分けて番号順に並べ、各話には伝承地と本文のあとに〔類話〕と近世の地誌などを引く〔文献〕を添える。