愛宕坂の砂の音と転がる茶釜
どんな伝承か
千葉県佐倉市の愛宕坂では、夜になると山から砂がさらさらと落ちる音がするが、昼間は全く聞こえないという。ある武士が夜この坂を通っていると、ふところへ寛永通宝の銭一文を投げ込まれたこともあった。また大晦日の晩、円正寺へ歳暮に出た松井七左衛門がこの坂を下る途中、コロコロと転がってきた茶釜が両足に挟まって歩けなくなり、傘の柄で突いて一時間ほどかけてようやく足から外れたという。これらは皆、愛嬌のある天狗のしわざと伝えられている。
原典より
佐倉の愛宕坂のあたりでは、夜ごとに山から砂の落ちる音がさらさらとする。—— 佐倉市史 民俗編――伝説・怪異(佐倉市(編)・佐倉市史) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
佐倉市史 民俗編――伝説・怪異(佐倉市(編)・佐倉市史)
『佐倉市史 民俗編――伝説・怪異』は、千葉県佐倉市の市史の民俗編のうち、第七章「民俗知識」と第八章「口承文芸」の伝説の節である。市内で採録した吉凶の予兆やまじない、民間薬、天気の言い伝えと、狐や狸の化かし、デーダラボーの足跡、岩富の首なし塚、天狗、狐火、印旛沼のカワボタルなどの伝説を収める。伝説は文化財保護委員会の分類に倣って自然伝説・歴史的伝説・信仰伝説に分け、終わりに村々の禁忌を置く。