神を怒らせて血を吸わなくなった蛭
どんな伝承か
下中津井には蛭の森・宮の森という地名が残り、かつてはその上手に宮の森神社が鎮座していた。あたりは足を取られるほど深い湿田で、田に入れば蛇がすぐ脛を這い上がってきたという。ただし、この土地の蛭だけは人の血を吸わない。気味が悪いだけで害はないのだと語られてきた。その理由として、昔この湿田へ入った宮の森の神が、数匹の蛭に取りつかれ、体が丸くなるほど血を吸われたことが挙げられる。神はひどく怒り、足に登っている蛭も水を泳ぐ蛭も、見つけしだい握りつぶしてしまった。以来この地の蛭は血を吸わなくなったという。神社はいま、集落の中ほどに祀られている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
北房町史 民俗編
『北房町史 民俗編』は、北房町の町史民俗編のうち、第十二章「伝説と昔話」の第一節「伝説」を収めたものである。上水田・菅野・中津井・宮地など町内の在所に伝わる、郡様の腰掛岩、菅野の七人みさき、八天狗の火消し、駒繋ぎの絵馬、長力牛之介の伝説、犬塚、断頭様、姥捨山、盗人が迫などの話を載せる。岩・泉・塔・社・地名ごとに見出しを立て、その場所と由来の言い伝えを短く記す。