食わず女房
どんな伝承か
向原下組の羽田クマヨ(大正十四年生)が語った菖蒲を葺く由来。百姓をしている人が山から帰り、たらいに水を汲んで足を洗っていると、鬼婆がやって来てその人をかついで行ってしまった。そういう者が来ないように屋根へ菖蒲を葺くようになったという。報告書は註で、六月七日の鍛神様の日に屋根へ菖蒲・薄・蓬を飾る由来だと記し、話型は日本昔話大成二四四「食わず女房」に分類している。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
向原の民俗 下――昔話(民俗調査報告 第9号・第10号・民俗調査報告)
『向原の民俗 下――昔話』は、民俗調査の報告書『向原の民俗』下巻のうち、「口承文芸」の章を収めたものである。向原の下組の調査と上組の補足調査で採った昔話、世間話、伝説、畑作の諺を、話者の名と生年を添えて土地の言葉のまま記し、狐火や狐に化かされた話、万年寺や新田様の言い伝えも含む。概観に続いて昔話・世間話・伝説・諺の節を立て、昔話には『日本昔話大成』の話型を対照させた一覧表を付す。