加賀の殿さまが案じた岩鼻越え
どんな伝承か
岩鼻のあたりは、四阿山の余脈と冠着山の一脈が千曲川にわずかに断ち切られた珍しい地形で、とくに半過側の断崖は肌寒くなるほど険しい。塩尻から鼠宿へ向かう側は昔の北国街道で、加賀街道とも呼ばれ、加賀金沢の前田侯が参勤交代で行き来した。街道で一番の難所だったため、殿さまはいつもひどく気をもみ、無事に越えると飛脚を走らせて「無事岩鼻御通過」の知らせを金沢まで届けさせたと伝わる。
原典より
昔は北国街道または加賀街道とよばれ、加賀金沢城主の前田侯が参観交代の行き帰りに、このところを通ったが、街道中随一の険所であって、いつも非常に心配し無事通過すると飛脚を飛ばして…—— 坂城町誌 上巻(民俗編)――伝説(坂城町(編)・坂城町誌) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
坂城町誌 上巻(民俗編)――伝説(坂城町(編)・坂城町誌)
『坂城町誌 上巻(民俗編)――伝説』は、長野県坂城町の町誌上巻(自然編・民俗編)から、民俗編の数章を抜き出したものである。祟る所や神罰、ヒトダマ・狐火などの怪異、魔除け、植物の禁忌といった俗信を地区ごとの事例として番号を付けて並べ、続いて甘利さま、天田長者とほうず池、苅屋原の七不思議、貉和尚、夜泣き石など三十余りの伝説を収める。伝説の章は調査員の調査をもとに、以前の調査記録も二、三篇併せて載せる。