恋する娘が枠を掛けた枠山
どんな伝承か
自在山の峯続きの西に小高い山があり、これを枠山と呼んでいる。昔、村上の人々と麻績の人々は山越しによく行き来した。麻績の造り酒屋は買いに来た者に炉端で存分に飲ませたので、酒好きはわざわざ山を越えて通い、そこで四方山の話や嫁探しの話に花が咲いた。そうした交流から、麻績のある娘が上平の青年と親しくなった。思いが募った娘はある夜、峠を越えて逢いに来る。闇夜のため糸繰りの枠に紙を張り、中にろうそくを灯して提灯代わりに頭へ乗せ、紐で顎の下に結んで歩いてきた。この山まで来ると上平が一目で見えるので灯を消し、枠を目印の木に掛けて青年と逢った。それで枠山と呼ぶようになったと伝わる。
原典より
闇夜のため糸繰りの枠に紙をはって、提灯の代用として、中にローソクを灯して、これを頭上に乗せ、紐でしっかり顎の下で結んで歩いて来たのである。—— 坂城町誌 上巻(民俗編)――伝説(坂城町(編)・坂城町誌) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
坂城町誌 上巻(民俗編)――伝説(坂城町(編)・坂城町誌)
『坂城町誌 上巻(民俗編)――伝説』は、長野県坂城町の町誌上巻(自然編・民俗編)から、民俗編の数章を抜き出したものである。祟る所や神罰、ヒトダマ・狐火などの怪異、魔除け、植物の禁忌といった俗信を地区ごとの事例として番号を付けて並べ、続いて甘利さま、天田長者とほうず池、苅屋原の七不思議、貉和尚、夜泣き石など三十余りの伝説を収める。伝説の章は調査員の調査をもとに、以前の調査記録も二、三篇併せて載せる。