持ち上げて産の軽重を占うオビンズル
どんな伝承か
田良尾の薬師を移した湯本の満願寺には薬師堂があり、女性たちが祀り手となっている。毎月十八日には嫁や主婦の親しい仲間が集まってご詠歌を上げ、子育てを祈った。盆の十八日には子供を連れてお籠りをし、夕食のあと姑が持たせてくれた茶や菓子を携えて堂に集まり、灯明をともしてご詠歌を上げた。堂内にはオビンズル様の木像があり、子が生まれるとハンテンや前ダレ、ザブトンを納めた。産の折にはそれらを借り受け、無事に済めば新しい品を納める。またオビンズル様を持ち上げてみて、重ければ産は重く、軽ければ軽いといわれた。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
天栄村史 第4巻(民俗編)――憑依と怪異・呪術(天栄村(編)・天栄村史)
『天栄村史 第4巻(民俗編)――憑依と怪異・呪術』は、岩瀬郡天栄村が編んだ村史のうち民俗を扱う巻である。第八章「信仰伝承」では、旧村ごとの鎮守と鎮守以外の神々、寺院・仏堂・修験、家や生業の神々、道切りなどの呪術と禁忌、口寄せをするワカドノ、キツネツキ、オシンメイサマ、小豆洗いなどの妖怪、講を扱う。『白河風土記』や明治十一年の神社明細帳の記載と土地での聞き書きを照らし、近世から近代への移り変わりを記す。