姫が身を投げた井戸と車井戸の禁忌
どんな伝承か
家例の禁忌は一軒の家にとどまらず、マケや村全体へ広がることがある。小川では井戸に車井戸もツルベも使わない。昔、ある姫が井戸の中で自ら命を絶ったからだと言い伝えられている。禁忌はいわれの分からないまま守られている例が多い中で、これは理由の語られる数少ない一つである。作らない植物としてはキュウリ・ゴマ・ネギ・里芋・カボチャ・ササゲなどが挙げられ、井戸の作法のように植物以外に及ぶ禁忌もあった。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
天栄村史 第4巻(民俗編)――憑依と怪異・呪術(天栄村(編)・天栄村史)
『天栄村史 第4巻(民俗編)――憑依と怪異・呪術』は、岩瀬郡天栄村が編んだ村史のうち民俗を扱う巻である。第八章「信仰伝承」では、旧村ごとの鎮守と鎮守以外の神々、寺院・仏堂・修験、家や生業の神々、道切りなどの呪術と禁忌、口寄せをするワカドノ、キツネツキ、オシンメイサマ、小豆洗いなどの妖怪、講を扱う。『白河風土記』や明治十一年の神社明細帳の記載と土地での聞き書きを照らし、近世から近代への移り変わりを記す。