拝み婆に乗り移った裏山の地蔵
どんな伝承か
大平のK氏の裏山に、地蔵を祀った木の祠が立っている。祀られているのは鹿沼のノブ地蔵を勧請した地蔵で、旧暦六月二十四日を縁日としていた。昔、この祠の守りをしていたのは拝みを業とするおばあさんであった。拝んでいる最中に地蔵がその身へ乗り移ることがあり、それを頼って多くの人が拝んでもらいに訪れたという。ワカドノと同じように、個人の悩みにも屋敷の幸不幸にも関わる存在であった。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
天栄村史 第4巻(民俗編)――憑依と怪異・呪術(天栄村(編)・天栄村史)
『天栄村史 第4巻(民俗編)――憑依と怪異・呪術』は、岩瀬郡天栄村が編んだ村史のうち民俗を扱う巻である。第八章「信仰伝承」では、旧村ごとの鎮守と鎮守以外の神々、寺院・仏堂・修験、家や生業の神々、道切りなどの呪術と禁忌、口寄せをするワカドノ、キツネツキ、オシンメイサマ、小豆洗いなどの妖怪、講を扱う。『白河風土記』や明治十一年の神社明細帳の記載と土地での聞き書きを照らし、近世から近代への移り変わりを記す。