弘法大師が掘った井戸と雨乞い井戸
どんな伝承か
奈良市に伝わる井戸・霊水の伝説で、最も多いのは弘法大師にまつわるものである。真言院の弘法井戸は東大寺真言院の境内にあり、弘法大師が久米寺で捜し出した経典と天竺無熱池の水を求め、四十八か所目のこの地で掘り当てたと伝わる。二条町の弘法井戸は、里人が大師に親切にした礼に掘られたという。沽間の清水は東九条町にあり、大師が錫杖で土地を三度打つと湧き出たと伝える。長谷町の雨乞い井戸は、日照りのとき蓋を取って雨乞いすると雨が降ったという。ほか水間の井戸など、大師が掘ったという井戸が各町に点在する。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
奈良市史 民俗編――伝説(奈良市(編)・奈良市史)
『奈良市史 民俗編――伝説』は、自治体史『奈良市史』民俗編のうち、第十一章「伝説」と巻末の「民俗資料」の冒頭を収めたものである。昭和三十七年から三か年にわたり市内各町の自治会長や古老、社寺を訪ねて集めた伝説に文献の伝えを加え、春日大社・東大寺・興福寺などの社寺や、吉備真備・俊寛・中将姫らゆかりの人物にまつわる話を収める。木・石・塚・水・山・森・社寺・人物・動植物・町名の十節に分け、一話ごとに題を立てて記す。