口から出た火が照らした飛火野
どんな伝承か
春日大明神がはじめて奈良に降り立たれたとき、八代尊が召し出されて道案内を務めた。都に着いたのは夜半で、道が暗かったため、尊は口から火を吐いたという。その火は飛びながら燃えて足元を照らし、案内の役を果たした。火は消えることなく時おり飛んだので、聖武天皇は佐丸宿祢を野守に任じて守らせたと伝える。もっとも飛火とは軍用ののろしのことで、他国の軍勢が攻めてきた際に高い丘で火を焚き、その合図で兵を集めて皇居を守ったのだ、という説もある。
原典より
春日大明神がはじめて奈良へ御降臨のとき、八代尊を召し道案内させられた。—— 奈良市史 民俗編――伝説(奈良市(編)・奈良市史) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
奈良市史 民俗編――伝説(奈良市(編)・奈良市史)
『奈良市史 民俗編――伝説』は、自治体史『奈良市史』民俗編のうち、第十一章「伝説」と巻末の「民俗資料」の冒頭を収めたものである。昭和三十七年から三か年にわたり市内各町の自治会長や古老、社寺を訪ねて集めた伝説に文献の伝えを加え、春日大社・東大寺・興福寺などの社寺や、吉備真備・俊寛・中将姫らゆかりの人物にまつわる話を収める。木・石・塚・水・山・森・社寺・人物・動植物・町名の十節に分け、一話ごとに題を立てて記す。