御神体を借りて返す金勢神社
どんな伝承か
鍬ヶ崎にある金勢神社は天保十三年頃かそれ以前の建立と伝わり、子授け・安産・病気治療にご利益があるとされた。願のかけ方は変わっていて、社に奉納されている御神体、すなわち男根の形をしたものを一本借りてきて、痛いところに当てたり枕元に置いたりする。そうして病が癒えたら、御礼にもう一本を新たに作り、借りた分と合わせて計二本を神林に返すのである。宮古の願かけでは石や水が霊力あるものとして用いられることが多いが、金勢神社では御神体そのものを貸し借りする点が際立っている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
宮古市史 民俗編 上巻――民間宗教者・俗信・妖怪(宮古市(編)・宮古市史)
『宮古市史 民俗編 上巻――民間宗教者・俗信・妖怪』は、宮古市の市史のうち、民俗編上巻の第四節「民間宗教者」と第五節「民間医療と俗信」を収めたものである。南部藩の宗門帳などの古文書から閉伊郡の山伏・神子・瞽女と里修験の成り立ちをたどり、イタコ・カミツキと呼ばれる巫女の系統、新宗教、民間薬、予兆・占い・まじない・禁忌を述べる。俗信の末尾には座敷童子・カッパ・キツネ・モウコ(幽霊)・オシラサマなどの話を、地区名を添えて箇条で並べる。