念仏の行者を振り返った阿弥陀
どんな伝承か
京都の永観堂の本尊は、座った姿の阿弥陀仏である。永観律師が住職だったころ、毎日仏前で念仏を一万遍、あるいは二万遍唱えていた。あるとき、声を惜しまず念仏を続けた行者が一万遍に至って少しためらうと、阿弥陀が左へ振り返って行者を見た。その後、像の顔は元に戻らなかったといい、永保二年二月十五日のことと伝わる。
原典より
時に弥陀左顧し行者を見て其後面貌遂に復せず。—— 迷信の研究(富士川游(監修)・富士川游・医学史/迷信研究・1932年(昭和7年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
迷信の研究(富士川游(監修)・富士川游・医学史/迷信研究・1932年(昭和7年))
『迷信の研究』は、富士川游が東京の中山文化研究所で監修し、昭和七年二月の緒言を付して世に出した迷信の解説書である。迷信を思考の錯誤ととらえ、その発生の由来を説いたうえで、身体・精神・疾病・妊娠と出産・育児・禁厭・相法・卜占・天文と暦・犯罪・宗教の欄ごとに迷信の事例を挙げ、科学的な説明を加える。同研究所の展覧会に使った説明のポスターをもとに簡潔にまとめ、巻末の奥書に参照した独逸と日本の文献を掲げる。