日比谷公園の高台で出会った二人の夢
どんな伝承か
明治四十年七月、東京でのこと。文学士の池田はある夜、日比谷公園の西北の隅にある高台へ登っていく夢を見た。そこには知人の文学士佐藤がいて、ベンチの方から声をかけてきたので、二人で語り合った。翌日、池田が本郷元町に佐藤を訪ねてその夢の話をすると、佐藤も前の晩、日比谷公園の高台にいたところへ池田がやって来たので、自分から声をかけて大いに話し込んだという夢を細かに語った。一つの夢を二人が別々に見たとして、互いに不思議がったという。
原典より
池田文學士は翌日、本鄉元町に佐藤文學士を訪ひ、談前日の夢に及ぶと、佐藤文學士も昨夜、日比谷公園の高臺に登つてゐるとき池田文學士がやつて来たので、…—— 心霊不滅(岡田建文・岡田建文・心霊研究・1940年(昭和15年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
心霊不滅(岡田建文・岡田建文・心霊研究・1940年(昭和15年))
『心霊不滅』は、岡田建文が著し、昭和十五年に大阪の国民書院が発行した心霊研究書である。人の心霊は肉体の死後も存続するという立場から、神道の神霊の垂示を引きつつ、心霊の本質と「化精」、遠感と魂の遊離、生霊、二重体、交霊術と霊媒、霊感筆記、幽霊写真などの物理現象、幽霊の出現を論じる。序説と七章からなり、第三・四・五・七章に「例一」「例二」と番号を付けた事例を並べ、今昔物語の説話、江戸から昭和の国内の見聞、欧米の報告を挙げる。