北国での死を寺に告げに来た僧
どんな伝承か
享保の頃、加賀金沢浅野町の駕籠舁き山屋藤兵衛は、武州深谷の九兵衛と組んで、総泉寺の病んだ老僧を京へ送る仕事を請けた。老僧は道中も駕籠の中で寝食し、言葉も少なく風変わりだったが、金は惜しみなく使った。越前の橋立で休んでいると、白い犬が一散に駆けてきて駕籠に飛びつき、老僧の喉をくわえて引き出す。一声叫んで死んだその体は、古い狸の屍に変わっていた。二人が総泉寺へ戻って事情を告げると、和尚は、十日ほど前にその僧が現れ、北国で犬に命を落としたので弔ってくれと言って消えた、と語った。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
動物界霊異誌(岡田建文・岡田建文・心霊研究・昭和初期(1927))
心霊研究家・岡田建文が昭和二年(一九二七)に著した『動物界霊異誌』。現代物理は宇宙の大物理の末梢に過ぎぬとの立場から、動物の霊異を迷信的虚妄として退けず証明すべき事例として収集する。蝦蟇(ヒキガエル)の章では、蛇を埋めてクリ茸を生やし食う怪(島根波根東村)、背に五寸釘を刺され口から怪光を吐く大蝦蟇(会津若松龍田屋、同時に幼児が高熱)、猫を灰色の液汁に溶かす怪(石見久利村)、慶応二年に浄土寺へ夜ごと現れた武士の正体が蝦蟇だった話を収める。