憑き物を落とすアワジイナリ
どんな伝承か
大塚町の人々も時おり参る神社に、高浜町の稲生神社がある。通称を「アワジイナリ」といい、病の開運、とりわけ心に取りついた憑き物を落とす神として、また衣食や農耕、水商売をはじめとする商いの神として、根強く信仰されている。宝暦年間には東は松江、西は大田のあたりからも参拝者が訪れたといい、今も大原郡や斐川町、湖陵町のあたりまで信者がいる。社に伝わる略記によると、祭神は稲魂神と有氣持神で、伏見稲荷の分霊を迎えて創建したと伝えるが、その時代ははっきりしない。病気平癒の霊験が殊にあらたかだとされ、例祭は四月十日である。
原典より
病気の開運(とくに精神的な憑き物)、衣食、農耕、商売(とくに水商売)の神として根強く信仰され、大塚町からも時々参拝する人がある。—— 島根県出雲市大塚町民俗調査報告書――俗信・憑きもの(出雲市(編)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
島根県出雲市大塚町民俗調査報告書――俗信・憑きもの(出雲市(編))
『島根県出雲市大塚町民俗調査報告書――俗信・憑きもの』は、出雲市大塚町の民俗調査報告書のうち、「XII 村の神」の章と「XIII 年中行事」の章の冒頭を収めたものである。氏神の大歳神社の祭りと由緒書、同族神・屋敷神・屋内神、札うち、講、寺、俗信、キツネに憑かれることを「サバラレル」と呼ぶ憑きもの、民間療法を、昭和五十七年ごろの聞き書きで記す。年中行事は正月準備から一月十一日の鎌初めまでで、文の途中で切れている。