川伊三郎の家を揺らす震動と大音響
どんな伝承か
井上円了が怪事の例として挙げた話。高知県香美郡夜須村の川伊三郎という人の家では、地震でもないのに、不意に天地が震動するような激しい揺れが起こり、大音響が聞こえることがあるという。円了は、原因が見えずその結果だけを見る現象を無体的妖怪すなわち怪事と呼び、深山で人影もないのに木を伐り倒す音や投石の音が聞こえる例、丹波の岩内誠一が報告した、夜中に障子が鳴りだし家全体が大地震のように動揺する怪しい家の例と並べて記した。原因はまったく不明だという。
原典より
そうかと思うと、高知県香美府夜須村の川伊三郎という人の家で不意に天地震動のはげしい揺れと大音響が聞こえることがあるという。—— 井上円了 妖怪学講義(井上円了 著・平野威馬雄 編) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
井上円了 妖怪学講義(井上円了 著・平野威馬雄 編)
『井上円了 妖怪学講義』は、明治期に哲学館で講じられた井上円了の『妖怪学講義』から要所を選び、平野威馬雄が現代の文章に改めて編んだ抄録である。狐憑きや化物屋敷、怪火、幽霊、コックリなどを題材に、円了が古書から抜き出した記事、各地から寄せられた報告、円了自身の現地での調べを収める。原著の八部門のうち理学・心理学・宗教学・雑の四部門を章に立て、序で研究の経緯と分類を、結びで編者の見方を述べる。