大滝寺の猫又が恩返しに退治した旧鼠
どんな伝承か
徳島の大滝寺に大きな猫がいて、院主が衣を脱ぐといつもそばに寄ってきた。ある晩、院主が遅く帰る途中、寺の向こうの山中で大勢の猫が集まり「今夜はたきじが来ない」と話しているのを聞く。寺に戻ると飼い猫が鳴いて出てきたので、衣を掛けて見ていると猫は出て行った。院主はうちの猫は猫又だと悟り、魔性になったのだから出て行けと告げる。猫は、この寺には旧鼠がいて自分が去れば家が絶える、恩返しにその鼠を退治するから一晩留守にしてくれと頼んだ。翌日戻ると猫が一匹かみ殺されており、門徒はありがたい寺だと言って寺は大いに栄えたという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
新編香川叢書 民俗篇――昔話と伝説(香川県(編)・新編香川叢書)
『新編香川叢書 民俗篇――昔話と伝説』は、香川県の叢書の民俗篇のうち、第八編「口承文芸」を収めた部分である。香川県内の昔話と伝説を扱い、昭和初年からの採集の歩み、呼び名や発端・結末の句、桶屋やほうろく売り・遍路などの運び手、語り手の横顔を論じたうえで、綾上町などで聞いた未発表の昔話を話者名付きで掲げる。伝説の章は樹木・石と岩・水と池と渕・塚と穴・祠と堂・坂と山と峠と谷・動物の項目に分け、各話の末尾に伝承地の郡町名を添える。