七日七夜神を集えた賀茂の酒宴
どんな伝承か
山城国の風土記の逸文には、賀茂にまつわる伝説として神を迎える宴のさまが記されている。八尋もある大きな屋を建てて八つの戸をしっかり閉じ、八つの甕に酒を醸して神々を呼び集め、七日七晩にわたって楽しく遊んだという。筆者はこの神祭りの光景を、神話の天雅彦の葬送で喪屋を作って八日八夜泣き悲しんだ場面と並べ、人々が祭場に集まって酒食を捧げ共にする点で、神祭と葬祭とがもとは形の似たものであったことを示す例としている。
原典より
『山城国風土記』の逸文に、賀茂の伝説として、「八尋屋をつくり八つの戸扉を堅め、八腹の酒を醸みて神集えに集え、七日七夜楽遊した」とある。—— 日本民俗学大系 第8巻――信仰と民俗(原田敏明・池上廣正・堀一郎ほか) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本民俗学大系 第8巻――信仰と民俗(原田敏明・池上廣正・堀一郎ほか)
『日本民俗学大系 第8巻――信仰と民俗』は、原田敏明・池上廣正・堀一郎ら十二人の執筆者による論文集である。民間に伝わる神と霊の観念、家や村の氏神、職業の神、祭りの日取りと組織、憑きものや妖怪を題材に、各地の調査報告や古記録に見える事例を引いて論じる。原田の総説に始まる十七編からなり、後半では修験道・庚申信仰・キリシタン・新興宗教と民間信仰とのかかわりを扱う。