鶏を飼わず柿と胡麻を植えぬ木地屋
どんな伝承か
高橋文太郎の調査報告『会津の木地屋部落』によれば、一ノ木村藤巻の木地屋部落は戸数一五で、みずから平家の落人と称している。氏神は大山祇神で、旧八月一日が祭日である。ここでは山の神が鶏に追いかけられ、柿の木に登ったが落ちて胡麻で目を突いたと伝え、そのために鶏を飼わず、柿と胡麻を植えないという禁忌を守っているという。木地屋は一般に惟喬親王への信仰と山の神の信仰とを重ねて持ち、山奥に隔絶して暮らしたため、通婚も同職の間に限られたようである。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本民俗学大系 第8巻――信仰と民俗(原田敏明・池上廣正・堀一郎ほか)
『日本民俗学大系 第8巻――信仰と民俗』は、原田敏明・池上廣正・堀一郎ら十二人の執筆者による論文集である。民間に伝わる神と霊の観念、家や村の氏神、職業の神、祭りの日取りと組織、憑きものや妖怪を題材に、各地の調査報告や古記録に見える事例を引いて論じる。原田の総説に始まる十七編からなり、後半では修験道・庚申信仰・キリシタン・新興宗教と民間信仰とのかかわりを扱う。