歯骨を納めに登る死者の山
どんな伝承か
下北半島の恐山は、死者の霊が向かう山として名高い。下北郡のあたりでは、人が亡くなると歯の骨を持って恐山に登り、円通寺へ納める。それを済ませたあとは、故人は恐山にいるものと考えられた。七月二十日から二十四日にかけての例祭には、供養のため遺族が大勢登ってくる。この期間には巫女も十人前後集まり、死者の霊を呼び出して語らせる口寄せが行なわれた。同じように山形の山寺にも遠く関東や関西の檀家があり、家族が死ぬと歯骨を納めに来る。高野山では骨上りと呼ぶ同種の習わしが伝わる。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本民俗学大系 第8巻――信仰と民俗(原田敏明・池上廣正・堀一郎ほか)
『日本民俗学大系 第8巻――信仰と民俗』は、原田敏明・池上廣正・堀一郎ら十二人の執筆者による論文集である。民間に伝わる神と霊の観念、家や村の氏神、職業の神、祭りの日取りと組織、憑きものや妖怪を題材に、各地の調査報告や古記録に見える事例を引いて論じる。原田の総説に始まる十七編からなり、後半では修験道・庚申信仰・キリシタン・新興宗教と民間信仰とのかかわりを扱う。