村ごとに泉井を祀る久米島のカーマチ
どんな伝承か
水の神を井戸や泉にまつる習俗は各地にあり、村の共同井戸から家々の私井になっても、正月の神飾りや若水迎えなどの俗信にその感覚が尾を引いている。沖縄の久米島では、村ごとに正月・六月または九月に「カーマチ」といって泉井(湧き水の出る泉)をまつり、なかには「カミガー」と名づけられたものもあったという。また沖縄本島の村ではカー(井戸・泉)を拝所の一つとし、門中(同族)ごとに拝所のカーを持ち、数年ごとに本貫の地へ行う神拝みの巡礼ではこのカーが目標となっている。清らかな泉のほとりには、ほとんど例外なく神仏やその祠が祭られてきた。
原典より
沖縄の久米島では村ごとに正月・六月または九月にカーマチといって泉井をまつり、中にはカミガーと名づけられるものもあり、また沖縄本島の村ではカーを拝所の一とし、あるいは門中(同族)ごとに拝所のカーをもち、…—— 日本民俗学大系 第8巻――信仰と民俗(原田敏明・池上廣正・堀一郎ほか) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本民俗学大系 第8巻――信仰と民俗(原田敏明・池上廣正・堀一郎ほか)
『日本民俗学大系 第8巻――信仰と民俗』は、原田敏明・池上廣正・堀一郎ら十二人の執筆者による論文集である。民間に伝わる神と霊の観念、家や村の氏神、職業の神、祭りの日取りと組織、憑きものや妖怪を題材に、各地の調査報告や古記録に見える事例を引いて論じる。原田の総説に始まる十七編からなり、後半では修験道・庚申信仰・キリシタン・新興宗教と民間信仰とのかかわりを扱う。